鳩
 ある朝、いつものようにベランダに出たら、すみに木の枝が何本か落ちている。ベランダの近くに木はないし、こんなものが飛んでくるほどの強風がふいた覚えもない。はて。まとめてゴミ箱に突っ込んだ。  翌朝、ベランダに出ると、昨日と同じく木の枝が数本置かれていた。誰かの悪戯だろうか?まとめてゴミ箱に突っ込んだ。  さらに翌朝、また木の枝が数本ベランダに出現していた。これまでと違うのは、その上に鳩が一羽鎮座していることだ。  あ、これもしかして巣だった?雑すぎだろ?そう思ったら鳩が語りかけてきた。 (・・・どうして私たちの愛の巣をどけてしまうの?もう照れ屋なんだから) こ、こいつ脳内に直接!! (ほら、これ、あなたとの卵) 鳩がチラリと卵を見せてくる。最悪だ。 しかも潤んだ目で見上げるなあ!!! (女の子かしら、男の子かしら。男の子なら、あなた似ね)
霜月穂
霜月穂
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