犬の気持ち その15

 節分とやらの次の日。  青が、神妙な顔つきでこちらを見ている。 「ぽち、恵方巻や」  だからなんだよ。  「恵方巻なんやけど……、どうしよう」  お前は、もう少し分かるように話せ。文脈がなさ過ぎて、何も推測できないんだよ。 「これ、実はぽち用に買ったんやけどな。『冷静に考えると、一点の方向を向いたまましゃべらずに飯食うとか、犬には無理や』って話になって、食卓に並ぶことはなかったんよ」  確かに、食べるときに確実に下を向くからな。地面以外のどこかをずっと見て食べるのは、無理だな。  そういうことなら、青たちが食べればいいだろう。 「本来なら、今日の昼にでも普通に食べればいいんやろうけどな?」
きと
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。