たんぽぽ
お前はいつも上機嫌だった。
洗濯物を干す時も鼻歌を歌っているし、
料理をする時も愉快なステップを刻みながら、野菜に刃を通している。
お前と一緒に生活してきて何年経っただろう。
気づけばお前は顔に何本もの皺を寄せ、
あの艶があった肌もガサガサで、背丈も腰を屈ませているものだから、うんと小さくなっている。
洗濯物は若い女がやって、料理もその女が作るようになった。
目にしたことがあるのは寝たきりになっているお前の姿だ。
俺は言葉が話せないものだから、お前が安心できる言葉をかけてやれない。
吠えたり、弱々しい声で唸ることくらいしか表現出来ない俺を、お前はそのシワシワな手で優しく撫でてくれる。
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2022/8/14 11:36
最終編集日時: 2022/8/15 5:17
かりんとう
中学生です!
適当な頻度で書いてますm(_ _)m
将来本を出版することを夢見て、
日々素敵な言葉を見つけることにハマってます。