たんぽぽ

たんぽぽ
お前はいつも上機嫌だった。 洗濯物を干す時も鼻歌を歌っているし、 料理をする時も愉快なステップを刻みながら、野菜に刃を通している。 お前と一緒に生活してきて何年経っただろう。 気づけばお前は顔に何本もの皺を寄せ、 あの艶があった肌もガサガサで、背丈も腰を屈ませているものだから、うんと小さくなっている。 洗濯物は若い女がやって、料理もその女が作るようになった。 目にしたことがあるのは寝たきりになっているお前の姿だ。 俺は言葉が話せないものだから、お前が安心できる言葉をかけてやれない。 吠えたり、弱々しい声で唸ることくらいしか表現出来ない俺を、お前はそのシワシワな手で優しく撫でてくれる。
かりんとう
かりんとう
中学生です! 適当な頻度で書いてますm(_ _)m 将来本を出版することを夢見て、 日々素敵な言葉を見つけることにハマってます。