分かつ旅先を求めて

分かつ旅先を求めて
「恋愛って、もっと夢があるって思ってた?」 にししっ。そんな言葉がぴったりと当てはまる。素敵な笑顔をする彼女。 この暗がりさえ関係無いように、目を惹かれてしまう。 「そうだね、そうだと思ってたよ」 手摺りの鋭い冷たさが、僕の手の熱さを溶かしてゆく。 なびく風は、伝う汗を忘れさせる。 「うん、私もそう思ってた」 手を残し、沿うように歩き進める。 すーっと、金属と手の境界線が擦れて音を立てる。 「つまらなかったかな」
じゃらねっこ
じゃらねっこ
ねこじゃらしが好きなので、じゃらねっこです。