五城蓮華

 五城蓮華は膨大な力を持った術師である。それは素晴らしいことであり、この國で五城として生きていくのにはとても良い。しかし、それが故に苦労することもある。    鳥の鳴き声、心地よい風の音、朝日の光…朝が来た…。蓮華にとって朝は良い時間とは言えない。 “身体が重い…頭が痛む…体が思うように動かない……“ 重い身体を無理やり起こして立ちあがる。 「今日は一段とひどいな…」 蓮華はぼそっと呟いた。 蓮華は大きな力を持っているため、そらが足枷となり特に寝起きは身体が動かしにくい。それというのも、寝ている間に前日にすり減らした力を自ら補給したり増やしたりしていて、まだ朝起きたばかりの時は力の制御が効かない場合が多いからだ。小さな力であればさほど制御に力はつかわないが、力が大きくなればなるほど制御にかける力も大きくなっていくのだ。いわゆるこれが比例ってやつかな。それが思った以上に辛い。最近は力もかなり増えたが、重ねた年数の分慣れてしまったため昔以上に大変ではない。まあ、それにしても大変だ。なんて言ったって朝だからね。  それから部屋の外に出る。日光をしっかり浴びることは術の質や精度、力の大きさや制御力、効率などすべてにつながってくるからだ。この朝日に助けられているとは言え、朝が嫌いな蓮華にとってはあまり嬉しくはないことである。決して陽が嫌いなわけではないが……
リス
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