レースカーテンと報われない恋をする

 ここしばらく宿題を終わらせていないことが部の顧問にバレて、早々に打ち切られた朝練。  空調の効いていない、まだ誰もいない教室の窓を開けた。  憂鬱な空にレースカーテンという薄い膜を敷く。  軽やかなレースカーテンが控えめに波を打ち、穏やかな微睡みを誘った。 「くぁ……」  ひとつ、あくびを溢して席についた。  まだ終わっていない古文のテキストを開く。  答案を丸写ししていくだけの単調な作業は苦手だ。
木のうろ野すゞめ
木のうろ野すゞめ
雰囲気小説を書く人です。 毎週金〜日曜日の間になにかしら書きあげていきたいです。 現在は主に「書く」「書く習慣」にて生息しております。 2025/8/16〜 ※無断転載、AI学習禁止