幸せの味

 久しぶりにこんな高熱を出した。  一人ベッドの中でうずくまって、何が原因だったのかを思い返す。やはり、昨日美緒を保育園に迎えに行った帰りに大雨に遭ったことだろうか。ママチャリの後ろに乗っていた美緒にはカッパを着させたが、私はママチャリを漕ぎながら傘をさせるほど器用ではない。結局、ずぶ濡れになって帰ってきたのだ。  ベッド脇の時計を見ると、もう正午を過ぎている。いつまでも寝ているわけにはいかない。 「ゔっ」  体を起こすと、節々が痛む。アラフォーにもなると、こんなに辛いのかと痛感する。  なんとかベッドから出て、ふらふらと居間へ向かう。何か口にしなくてはと思い、台所に行き冷蔵庫を開けると、大きな鍋が下の段を陣取っている。取り出してみると、おかゆが入っていた。夫が作ってくれたのだろうか。普段、料理のしない夫がおかゆを作るところなど想像できず、少し戸惑う。  とりあえず、ありがたく頂こうと思い、鍋を火にかける。お皿に分けてテーブルに運ぶと、書き置きの手紙が目に入った。 “ママへ おかゆたべてげんきになつてね
葉月
初めまして、よろしくお願いします。 今、このプロフィールを読んでいるそこのあなた!どれか一つでも読んでいっていただけると幸いです。 いいねもコメントもめちゃくちゃ喜びます。ありがとうございます。