マイカ・ナイト

マイカ・ナイト
 マイカのことなら何でも知っている。  部屋着の色やパジャマの柄まで知っている。もっと言おうか。下着の色までわかる。  マイカがむかし、自分のことを「マイカ」と呼んでいたことも、後になってそれが恥ずかしくなって「わたし」に変えたことも知っている。  マイカが中学三年生になったことも。通学路で、変な怪しい男に付き纏われてることもだ。知っている。  マイカの母さんが言っていた。 「警察に相談した方がいいかしら」  うんうん、その通り。  僕はとても、耳がいいのだ。
sae(嫁野さん)
sae(嫁野さん)
小説、特に純文学のようなもの。エンタメにはちょっと遠い。