贖罪

贖罪
放課後の屋上。 フェンス越しに見える空は、どこまでも青かった。 「なぁ、なんでみんな、そんなに生きたがるんだろうな。」 風にかき消されるように、俺はつぶやいた。 誰もいない屋上。部活の声も、笑い声も、もう届かない。 ポケットの中には、クシャクシャになった退学届。 先生には何も言ってない。家にも、もう帰ってない。 誰かに止めてほしかったのかもしれない。 でも、そんな都合のいい物語みたいな奇跡なんて、俺には降ってこなかった。 フェンスの向こうの世界は、やけに静かだ。
叶夢 衣緒。/海月様の猫
叶夢 衣緒。/海月様の猫
少し投稿頻度落ちてます。 2023年 2月27日start 3月3日初投稿