第38話「母」
「それじゃあ、留守はお願いします。セバスチャン」
聖国の国境門。東西南北にそれぞれ設けられているそのうちの、最南端に僕は馬車を引いていた。
城の何人かは見送りに出向いてくれており、担当執事であるセバスチャンに、僕は留守を頼んでいた。セバスチャンは50代のヒト族の男性だ。聖国が開国してから、元老の審査を介して雇われ、その腕は一流と言っても何ら差し支えない。武術も嗜んでおり、襲撃時には戦闘も可能な万能執事だ。
「はい。承知いたしました」
彼は黒いスーツの左胸に手を当て、軽くお辞儀をして答える。歳に似つかない整った顔立ちを、彼は優しく綻ばせた。
「それと、ルルカさん。使用人達に少し休暇を取るように言っておいて下さい。僕が居ない分、彼女達を労う時間は必要だと思いますし」
僕は続けてセバスチャンの横に立つ黒髪の使用人に声をかけた。使用人長を務める彼女は、使用人全員の支持役を担当してくれている。彼女もセバスチャン同様、建国時に元老を通して城にやってきてきた。ボブショートの黒髪に、黄色い目がよく似合うヒト族の女性だ。
一つ欠点があるとすれば……表情筋が乏しいことだろうか。
「分かりました。使用人達には私から伝えておきます」
「うん。宜しく」
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2023/4/4 2:24
最終編集日時: 2023/4/8 2:38
U
どうもUと申す者です。あんまり小説は得意じゃないのですが、頭の中にどうしても物語が生まれてきてしまうので、このアプリで書いていきたいと思います。気軽に読みに来てくれたら嬉しいです。また、大変勝手なんですが不定期投稿とさせていただきます。(恐らくたまに失踪します)