来週の花は何ですか?
花屋の店頭に、今週の花と書かれた黒板と共に、数輪のハルジオンが生けられていた。
私が花屋の豪華で主張する花々よりも、その小さな白い花に視線を奪われたのは、素朴で清楚な外見とは裏腹に、高い繁殖力で空に向かってぴんと伸びていく力強さに、人間の生命力を重ね合わせていた…などという、ありきたりなつまらない理由では無かった様で、十数年前の記憶の扉が、再び開きかけるのを、感じていた。
「何かお探しですか?」私は少しの間、見入っていたみたいで、ハッとして声の方を振り向くと、若い女性が微笑んでいた。
「ええ…いや特に探しているのはないんですがハルジオン良いですね。何か力強さを感じます。ハルジオン売っているのですか?」そう一気に話すと、まただ!と思った。
緊張して、早口になってしまう。言葉を繋がなければという焦りが、思考と離れた言葉を生み出していた。
私のおそらく数万回目の自己嫌悪など、意にかえさない様に、彼女はゆっくりとした口調で、「売ってはいないのですよ。ハルジオン良いですよね」と、穏やかな表情を見せた。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2023/1/15 2:38
最終編集日時: 2024/5/3 4:14
生き丸
2023年1月15日初投稿!読んでくれたら、嬉しい。
34歳の男。自己主張が強く感じたら、ごめんなさい!色々勉強します!