フットスタンプ・アンド・ハンドプリント
廃校の廊下には砂が積もり、靴底を滑らせてくる。
「見て」ヒナの短い呼びかけを受けて、前方の床に目を凝らす。
「……足跡、か」
「人の足、同じ形、一種類だけ。……どう思う?」
「不自然だな」結論から口にする。「なぜ、まだ新しい跡がある? どうして一人分だけなんだ?」
「誘い込んでるね、間違いなく」ヒナが目を上げ周囲を見渡す。「“手形”の奴とセットだ。どっかに仕掛けてあるはず」
頷いて、廊下の奥に目を向ける。足跡が向いているのは、この先。だが、足跡の群れがあちこちから合流してきている。教室のドアや、外に通じる窓の下はおろか、到底歩けるはずのない壁や天井まで、重なり合うように足跡が伸びている。
いや、増えている。足跡の主もいないまま、足跡だけがいつのまにか増えていて、
「……ミコト、そこ!」
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カテゴリー: お題
投稿日時: 2022/8/5 14:40
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
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