物が落ちたような音

物が落ちたような音
物が落ちたような音  テレビから漏れるアナウンスサーのそんな言葉を僕の左耳が捉え、もう片方の耳では母の毎朝恒例の急かす言葉を聞く。 「また、遅刻ギリギリじゃないの、机の上にお弁当置いてるからね。今日も忘れたらあんたの夜ご飯つくらないからね」  僕は適当にに返事をし、バックを肩にかけた。  女子高校生2人の死体が駐車場付近で発見され、1人は即死、もう1人は発見直後までは息はありましたが搬送先で死亡が確認されました。  縷々と語られる女子高校生2人の自殺の報道、僕の耳は自然と母の煩わしい声を遮断し、そのニュース内容に吸い取られていた。 「優!聞いてるの!」 「あ、え、ごめん」  僕はまの抜けた返事をした。 「もー、シャキッとしなさいよ。もう小学生じゃないんだから」
ばぶちゃん
ばぶちゃん
基本連載 時々短編 文章虚偽祭り ナポリ湾 少なめ健三郎 自然薯