EP1 姉さんの呪い

EP1 姉さんの呪い
  春だ。暖かい。だけどまだ朝は少し肌寒い。  今日から2年生なんだけど、特に変わらない。俺の心情は何も変わらない。  いつも通り目覚めて、階段を降り、姉さんの遺影に手を合わせる。 「姉さん、今日から俺高校2年生だよ。姉さん越しちゃったよ。」  俺の姉さん「川上楓」(かわかみかえで)は、いい人だった。優しい人だった。だけど、これが仇になって、死んだ。俺がちっちゃな頃に。  あの頃は優しいっていうのはプラスステータスだと思ってた。だけど、姉さんの死によってマイナスステータスなのだとよくわかった。  姉さんは見ず知らずのお婆さんを助けて死んだらしい。どのように死んだのかは俺には教えられなかった。だけど、誰かを助けた代わりに自分が死んじゃうなんて、元も子もないじゃないか。  だから、俺は大好きな優しい姉さんを「愚か」とも思ってしまう。  そして姉さんの死は俺に一つ、大きな爆弾を置いていった。  俺が生まれたとき姉さんは既に小学校を卒業して、中学生になっていた。姉さんは頭がよくて常に学年トップをとっていたらしい。
大和滝
大和滝
函館の高校生です。 趣味で書いていますが、是非どんどんコメントとか書いていってください。フォローされたら出来るだけ返そうと思います。 アルファポリスでも同じ名前で活動しています。そっちでは現在三つ作品を出しています。是非読んでみてください