我が家の話

ある日は姉が突然悲鳴をあげ、驚いた様子で「足元にベストを着た男の子が座ったのが見えた」と言ったり、ある日は母が呑気に「金縛りにあったと思ったら笑いながらお腹の上に乗られた」と言ったり、ある日は私が夜中に眠れずにいると、外からしゃん、しゃんという神楽鈴のような音が等間隔で聞こえ、家の目の前を通り過ぎていったりと、我が家ではそういった話が絶えなかった。 そんな毎日でもう慣れっこになってしまった私は、特に何も気にせずお風呂に入った時、ある事に気がつく。 手形があった。 お風呂場の中折れドアに、少し小さな手形があった。その手形は家族の中で1番手の小さい姉の手よりも一回りほど小さかった。しかし小さな子を家にあげたことは無かったため、またそういう出来事かと思った。 今まで姿を見たり影をみたり、音を聞いたりなんかはしたものの、形に残る何かは初めてだったために少し驚いたが、洗えば消えるだろうと、そこまで気にはしなかった。 しかしどういうわけか、内側から外側からどれだけ擦ってみても落ちない。いや、正確に言えば落ちはする。しかししばらくしてみるとまたあるのだ。 けれどまぁ、特にそれに関連した出来事は起こっていなかったため、私も姉も母も気にせずにいた。
いかのこ
いかのこ
主に自分が思ったこと感じたことを書いてます!いつか物語も書きたいと思ってます! 投稿頻度は低いですが、よろしくお願いします( ‎¨̮ )و✧