みーつけた
駅のホームで毎朝見かける女性がいる。白いワンピースのか細いその女性は、いつも倒れそうに階段を駆け上がってきては、停まっている電車の車内を覗き込んで、落胆した様子で次の車両を覗き込む。
どうやら誰かを探しているようだ、と察したのは彼女が毎日見かけることに気づいてから一週間程経ってからのことだった。私も毎日同じ場所で電車を待っていることもあり、一度気になり出すと駅に来る度に思い出してしまい、つい視線で彼女を探してしまっていた。
誰かを探しては見つからずがっかりする姿はとても忍びなく、手伝いましょうか、と声をかけたい気持ちもある。だが、そんな間もなく私の乗る電車が来てしまうものだから、未だに彼女のことは見守ることしか出来ていない。
あまりにも気になって、仲のいい友達にこの話をしてみると、友達は一斉に首を傾げた。
「なんでその人が誰かを探してるって知ってわかるの?」
「電車を待ってる間、暇なんだよね」
「え? でも電車は来てるんでしょ? 女の人が探してるんだよね?」
「う、うん。でもその人は向かいのホームにいるから」
「……どうして電車が来てるのに、向かいのホームにいる女の人が見えるの?」
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カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2021/9/30 4:46
白水縁
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