深夜0時の紅葉狩り

『20分後に迎えに行くよ』  一体何時だと思ってこんな連絡を寄越したのだろうか。呆れつつも時間に間に合うように支度をする。  彼が時間に無頓着なのは今に始まったことではない。まだ日の登らない早朝から海に連れて行かれたり、日が暮れてから延々とドライブをしたこともある。  振り回される度にうんざりするのだが、最終的には自分も楽しんでしまっている。彼に付き合うようになって半年もすれば、そんな滅茶苦茶な誘いも楽しみになっていた。 「おまたせ」  彼は20分きっかり計ったかのように到着した。そこだけはいつも妙にきっちりしている。 「今日は何処行くの」 「それは着いてからのお楽しみ」
綴木 継人
綴木 継人
気ままに書いたりしてます。