黄昏る。

黄昏る。
 午後八時半ごろ、北欧のある夏の日。  私は、犬の散歩で、近所の小高い丘に登った。  この日は、夏なのに暑くなくて、涼しいような、暖かいような、そんな心地の良い陽気で、丘の頂上へと登っていく、プラスチックで舗装された道が、西日に照らされて、金色に光っていた。  上を見上げると、空は青く澄んで、柔らかく穏やかにそこに在った。    犬が、木の柵の向こう側の緩やかな斜面へと遊びに行ったので、帰りを待つ間、すぐそばの柵に座る。  柵は、雨と風とたくさんの人の手に触れられて、灰色で、つるつると気持ちのいい手触りになっていた。    見下ろす景色は、夕方の光で、ところどころ黄金色に染まって、きらきらと輝いている。
Tentomushi
Tentomushi
初めまして。Tentomushiと申します。 学生です。よろしく。