銀振り

私はその頭の隅から隅まで、巨大なるランドマークから路地裏のささやかな立て看板までを空とし、一点の陰すらも打ち晴らすよう努める。明鏡止水に対する宛のない渇望は止むことを知らず、悠久の彼方までへと終わりのない地平線を望んでいるのだ。 適切な脱力をし、かつ頑強な土台を持ち、全身の筋からなる動作には一片の残骸さえ許さず、最も流麗であり感涙の所作を夢とする。それが私の日常という連続の中の、ある種周期的な行動であった。 銀を手に携え、その重みを肩より脳へと受ける。ただグラムを感じているのでは無い。過去人間が歩んだ大乱の歴史を、幾多もの生者を屠ったであろう重みを手にするのである。 吹き抜ける夜風は憂愁を孕み、私の思考の隅をアリクイのように突く。それを振り払うべく思考を白紙に均し、確かな重量をついに動かさんとする。 突き、払い、受け、回し、多数の動作を順に確認しこなす中、私がその響に紙揺れる一時が必ず存在した。 私はその銀を胸へと引き、全身の運動を一点へと集中させ、適切な脱力かつ頽れることない櫓を打ち立て、そして放つ。 一突きである。 私はこの瞬間に響き渡る銀の明瞭なる木霊に、必ず空の揺らぎを感じるのである。 この銀の空への呼び声は、紙を拳で撃ち抜く音によく似る。 銀振りのこの音を脳に感じた時、私は広大な世界に思い馳せ、如何に自らが矮小であるかを知るのである。
じゃらねっこ
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ねこじゃらしが好きなので、じゃらねっこです。 毎日投稿始めます。