「世界」と「社会」と「国民」と

 その日、駅前の時計は止まってるのに、世界だけが先に進んでいた。世界、とは私の名前だ。群衆は誰一人として止まってるのに私だけ先に進めるのは不思議な感覚だ。私には時を止める超能力があるとでも言うのだろうか? 「ねぇ、あなた、世界だよね?」  突然、背後から声がする。振り向くと、そこには社会がいた。 「うん。あなたは社会だよね?」 「そうだよ。あなたは止まっていた。だけど、私があなたを動かしたんだ」  社会が世界を動かす。逆に言えば社会がなければ世界は動かない、ということだ。 「じゃあ他の人はなぜ止まってるの?」 「社会は世界を動かすことができる。だけどね、世界を動かしても国民は動くとは限らない」  私は彼女の言う意味がよくわからず、聞き返す。 「どういう意味? あなたが私を動かせるなら、国民も動かせないの?」
シャイニー
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こんにちは。いろんなジャンルを書いていきたいと思います。