第四章 ~古の魔人~ 4

第四章 ~古の魔人~ 4
 ナノ・プラントの二人はセルフィーを執拗に追い掛けようとする様子もなく、あっさりと追尾を中止した。 「……追わなくていいの?」  二人の足止めをするつもりで立ち塞がるも、積極的に追う様子のないヒューゴとリオを見て訝しげに問い掛けるステラ。  リオはひょいと肩を竦める。 「もういいわ。よ~く考えたら急いで追い掛ける必要なんてないんだもの」 「ああ。この分だと、お前たちを殺したあとにゆっくり追っても十分間に合うだろうからな」  同じ意思を有しているかのように、リオの言葉をヒューゴが続ける。二人の口調はまるで初心者相手にゲームを楽しんでいるかのように嘲りに満ちたものだった。 「ちっ……。舐められたもんだぜ」  リィーガーが小さく舌打ちするのがラグナの耳に届く。本来であれば、電波制御装置の停止任務についてはアイ・センサーを搭載しているラグナかリィーガーが遂行する方が効率的である。解析次第で、電波がどこから発生しているのか判明させることが出来る。しかし、一般人である上怪我までしているセルフィーよりも圧倒的に機動力の高い二人が行動を起こせば、ヒューゴとリオのどちらかは間違いなく妨害を仕掛けてくる。  追尾された者は、ナノ・プラントと一対一で対峙することとなり、任務遂行前に殺される。そして貨物室に残った者たちも、為す術なく死ぬ。
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