第5回N1 尺魔の帝国

第5回N1 尺魔の帝国
大陸の東に秋瑞《しゅうずい》という国があった。国土が海と 接しているため多種多様な海産物が採れ、また、国の内陸部には 大規模な水田が広がる豊かな国である。秋瑞は烈帝という皇帝が 治めていた。烈帝は法に通じており自ら罪人に裁きを下し、 世に知られずにいた悪を次々と暴いた。人として欠けてる部分は多々あったがそれでも民から見れば名君だった。 烈帝には有能な部下がいた。名を李継《りけい》と言い、五代前の皇帝の子孫で烈帝の従兄弟であった。李継は烈帝ほど法に通じているわけではなかったが、持ち前の明るさと気持ちの良い性格が 外交で力を発揮していた。烈帝の御世で戦争が起こらなかったにも関わらず領土が拡大されたのは李継の力が大きい。二人は国政の 要として民から支持を得ていた。 烈帝六年の冬、事件は起こる。
史
ふひとです