夏の空だと思った。 季節は春にもなりきっていない、 木々は裸で、ひんやりした風を受け、なびいているのに。 ほんの少し熱い日差しの中、青い空にどすんと身構えている分厚い雲を見て、そう思った。 眩しさに目がくらみ、目線を落として数歩進む。 体育館の前を通ると、3人ほどの女子がこちらを見ているのがわかった。 見られている。 その途端、心臓がきゅっとなり、息が苦しくなった。 何食わぬ顔で、だけど先程より足取りを速めて通り過ぎた。 見るなよ、と心の中で呟いてから、もう一度空を見上げると、そこにはもう夏の空はないように感じられた。
憂桜
憂桜
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