夏の妖精

夏の妖精
夏の朝。縁側から差し込む日光で目が覚めた。昨日畳で寝てしまった俺の体はどこもかしこも痛む。ずっと出しっぱなしの中学の制服。その横に掛けてあった半袖の制服を着て、ネクタイを締めて、適当にパンを口に突っ込みながら寝癖を治していると、勝手口の方から声がした。 『おーい、また寝坊ー?』 「ちげぇし、」 『何でもいいから早く行こー!』 この声を聞くとあぁ、もう夏も終わるのかなんて思う。 玄関から出ると、いつの間にか回り込んでいたこいつがやけに嬉しそうにニコニコ笑いながらその小さな身体を揺らす。 風に靡いた綺麗な茶髪がキラキラと輝いて見えた。
いくら
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