流れ星

流れ星
「ねえ、知ってる?流れ星が流れる間に願いを3回心の中で唱えられたら叶うってやつ」  高校生にもなってそんな子供じみたことを無邪気に言う彼のことを、これから先、後何回見れるのだろう。 「知ってるけどどうせ迷信でしょ」  彼をわざと馬鹿にしたような口調で言って、彼の笑顔の下にある不安や恐怖を見ないふりした。 「僕はねー、それでも信じてるんだよね」 __私もだよ__  口から出なかったこの言葉は、今彼には言わないでおこうと思った。  そんな迷信に縋ってしまうほど私たちは奪われるものが多い。
夕暮れ
夕暮れ