静かなる布陣
王妃の脱獄は、王国の威信を揺るがす一大事として、極秘裏に調査が進められていた。
彼女は王侯貴族の血を引く身であり、貴族層に多くの支持者を持つ。そのため、潜伏先の特定が叶ったとしても、軽々しく踏み込むことは政治的に困難であった。
加えて、王妃自身も外部との接触が難しい状況にあり、強行策は避けられ、当面は監視という形見守ることとなった。
この任務は、イザーク率いる国家隠密部隊《ヴェイル》と、王直属の密偵たちによって遂行され、王妃の一挙手一投足は厳重な監視下に置かれることとなった。
王妃が匿われてる実家と懇意にしている貴族屋敷の一室
夜は深く、灯火の揺らめきが王妃の影を壁に踊らせていた。
ロクサーヌは椅子の肘掛けを握りしめ、沈黙の中で焦りと絶望を隠せないでいた。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/11/14 0:07
佐伯すみれ
初めまして。拙い作家ですがよろしくお願い致します。他にもNola、小説家になろうでも活動しています。