私の好きなあいうえお

 インディア紙のしなやかな手触りが心地よく、用途もないのに辞書をめくることが好きだった。インプットする気のない言葉に付箋を貼る。手放すこともそうそうないから、直接、蛍光ペンで線を引いた。  インクを裏抜けすらさせない強かさ。  その薄い用紙に、わざとらしく空気という壁を孕ませた。 【あ】愛  ✴︎ 好きも嫌いも恋も嫉妬も、言葉での形容が足りなくなったときに芽生えた気持ち。   純粋だった想いはいつの間にかぐちゃぐちゃに染まり、黒っぽい何色かに染まってしまった。 【い】愛おしい  ✴︎ 本人には直接的に伝えることはない気持ち。
木のうろ野すゞめ
木のうろ野すゞめ
活動レベルが落ちてしまって、睡眠にリソースを割いています。 現在の執筆の優先度「書く習慣」>「Novelee」となっております。 雰囲気小説を書く人。 毎週金〜日曜日の間になにかしら書きあげていきたいです。 2025/8/16〜 ※作品は全てフィクション ※無断転載、AI学習禁止