それは慕情へと

それは慕情へと
「やっぱり送ります!もう遅いし…」 「…野暮ね、一人にさせて」  別れ際は寂寥を添えて足早に改札を抜けた。  最後に君の住む町を見たかったのに、深夜の車窓に映るのは涙で霞む私だけ。 「ばーか…」  狡猾な私と鈍感な君に贈る餞の言葉は、誰もいない10号車に流れる心地良い走行音に溶けて消えた。
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