未知

 いつからか私の生活は、メインストリートから外れていた。  無駄に行動力があったし、縛られることがダメな人間である。部活に入って一年が経ったころ、ふいに辞めてしまった。その日はサーブが上手に打てた日だった。部活から解放されて、周りの目から今度縛られるようになった。一つメインストリートから外れた私は、そこから癖のようにがたがた離れていった。毎週に塾に行って友達を作った。学校の人がひどく色褪せたように感じ、話の一つ一つが聞いたことの繰り返しであることに気がついてしまった。誰それの話は巡って悪口になる。進路の話は巡って「アンタならどこだっていけるでしょう」と棘を投げられる。自分より馬鹿なやつは可哀想だと思った。土曜授業のある高校を聞いて恐ろしいと思った。制服のある高校なんて死んでも行きたくなかった。  途中からはメインストリートの端に戻り、比較的普通を過ごしていた。正直ゲロ吐きそうだった。健気で真面目な可哀想な子、に自分が嵌っていくのを感じて死にたくなった。でもどこに嵌ることもできない自分は嫌、と口では言いながら心では愛してた。アニメもドラマもJもKも男も女も全部好きだった。  毎週都会に行って本当の友達に会うたび、学校は白い箱にしか見えなくなった。黄ばんだ箱。煙たい箱。真四角のダサいリュックを背負い、制服を泣きたい気持ちで着る日々に嫌気がさした。これくらいなら私服の進学校に行っとけばよかった。誰も私を知らないところへ行きたかった。  そんな中学生活もあと半年で終わりを告げる。ゴールテープが見えることに安堵し、やっとこの白い箱を愛せそうになる、ことはなかったけれど怖くはなくなった。馬鹿に会えるのも最後かもしれないから愛おしささえ感じた。このクソ狭い箱で涙を流し笑い合うみんなを美しいと思った。私だってそうしてもよかったけど、選べなかったのだ。  これからは学校にスクバで行こうと思う。赤い靴下で行こうと思う。たまには厚底でもいいだろう、私が怪我してもみんな痛くないから。q可愛い可愛いやつ。こんな田舎の学校に洒落たやつで行って何を言われるか知らない。彼氏にもよく思われないだろう。みんなマニュアルを外れてく奴を怖がって嫌うから。でも私は好きな格好をしたい。可愛いブーツ履きたい。スクバだってなんの問題もない。卒業式が終わったらすぐに帰って東京にでも行こうと思う。沖縄でもいい。とにかくここから遠い遠い場所へ行って、今までの思い出とも言えない記憶を、美化してしまう前に閉じ込めて保存しよう。
Stella
Stella