君を待つ

「つまり?」 「……つまり、なんも意味はないってこと」 そう言うと、お姉さんはいつものように、ふぅっとタバコの煙を陽の落ち始めた海へと流した。 白い拠れたタンクトップに適当な灰色のスラックス、ピンクのサンダル。適当に流してる長い髪。 こんなにもいい加減な見た目なのにも関わらず、日の当たるお姉さんの横顔は僕の目にはとてもキレイに映ってしまう。目元に落ちる長いまつ毛の影も、浮き立つ輪郭も。 ーー遠い目も。 きっと僕なんて届かない所にお姉さんはいるんだ。誰もきっと届かない。
夜音。