さんま、喋る猫
仕事終わり、今日は何となくいつもと違う帰り道を歩いていて、あら、こんなところにスーパーなんかあったかしらん、と見た事もない小さなスーパーに入った。たしか名前が「アニマルトーク」とか看板に書いてあったかなぁ。お店は小さいけど品揃えはそれなりにあって、新鮮だし、いいお店かも~。
そのお店では少し高めのサンマと大根を買って、ウキウキと店を後にした。さんまだ~!わーい!
お家に着いて、風呂上り、ビールを飲みながら料理をするのが好きな私は、今日の仕事でムカついた事を延々と飼い猫のトッチャンに愚痴りながら、親の仇のように大根をおろし、魚焼きグリルにサンマを入れた。サンマの匂いにつられてトッチャンがグリルに近づいてきてじっと見ていた。「いい匂いだねぇ」と頭を撫でて、グリルを開けると、うまく焼けているじゃな~い。
私はグリルから皿にサンマを移し替え、大根おろしを添えた。トッチャンが私のサンマの皿に近づき、「みゃあみゃあ」と鳴いている。食べたいのかしら、とスマホで検索して猫が食べても大丈夫そうだ。と、トッチャン用のお皿にプレーンの骨のない身をほぐしたサンマを取り分けてあげた。
テーブルについて、サンマを前に「いただきます」と言うと、横から「おいしっ」と聞こえた。ん?と声のした方を見ると、トッチャンがサンマに貪りついている。
私は気にせず大根おろしに醤油をかけて、サンマと一緒に口に入れると、「んま~」と言った。「とてもおいしいです」とまた声が聴こえ、振り向くと、「いい秋刀魚買ってきましたね。身がプリプリしてて」とトッチャンが口を動かして声を出してた。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/10/16 14:05
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