脳内中華

脳内中華
 豚肉は震えた。今まで身を粉にして尽くしてきたのに、それこそ骨の髄までしゃぶられて茹でられてきたのに。それはひとえに美味しい豚骨スープの、至高の豚骨ラーメンのためにだった。  それなのに、油ぎった豚とはおさらばだと麺は言ったのだ。 「お前たちあんなに熱々だったじゃないか、どうして」  ネギとメンマが裂かれた二人の中を取り持とうとしたが麺は聞く耳を持たなかった。 「世の中はカロリーオフ、高タンパク、低糖質、豚骨との蜜月は終わったんだ。お前ら仲良くやりな。俺は行くぜ」 「いや!あたいもついていく。あんたのためなら減塩メンマになるわ」
小目出鯛太郎
小目出鯛太郎
『アルファポリス』『小説家になろうムーンライトノベル』にBL書き散らかしてる。 あらすじと感想文と片付けが苦手な生物です。