行間の舞踏人

行間の舞踏人
呼びつけておいて人を待たせる奴を、僕は信用しない。 「いい所なんだ。あと十二ページ待ってくれ」 その理屈において、たった今、彼は僕の信頼を失った。 アルキメデスを殺した兵士も、こんな気持ちだったんだろう。 眼光で本を貫こうとする彼を見て、僕は思った。 「アルキメデスは、幾何学に魂を捧げてた最中にローマ兵士に殺された。最後の言葉は有名だな。『図形に触るな!』だったか。お前もなかなか博識だな」 読書中に平然と返事を寄越す彼は、やはり信用できない。 「だが、少し違うな」 彼は続ける。「わかりやすく言おう」
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