行間の舞踏人
呼びつけておいて人を待たせる奴を、僕は信用しない。
「いい所なんだ。あと十二ページ待ってくれ」
その理屈において、たった今、彼は僕の信頼を失った。
アルキメデスを殺した兵士も、こんな気持ちだったんだろう。
眼光で本を貫こうとする彼を見て、僕は思った。
「アルキメデスは、幾何学に魂を捧げてた最中にローマ兵士に殺された。最後の言葉は有名だな。『図形に触るな!』だったか。お前もなかなか博識だな」
読書中に平然と返事を寄越す彼は、やはり信用できない。
「だが、少し違うな」
彼は続ける。「わかりやすく言おう」
2
閲覧数: 268
文字数: 2622
カテゴリー: ミステリー
投稿日時: 2025/8/1 15:43
最終編集日時: 2025/8/2 2:58
ot
フォロバしますが、投稿しなくなったら凹んで外します。