荷運び

荷運び
 道端で友人と話していると、二人の顔見知りが向こうからやってきた。 「おお、エイサーにホッサーじゃないか!今日もデカい箱運んでるのか。」  前後に並んだ二人の間には一本の棒に吊り下げられた重そうな木箱があった。どっかの国ではこんな感じの乗り物もあるらしいが、全く乗り心地が悪そうだ。 「おうよ!なんてったって、俺たちゃ力自慢のヨイドイ兄弟だからな!」 「デカくなけりゃあやり甲斐がないってもんさ!」  二人揃って片腕の力こぶを見せ、陽気にニカッと笑う。揃った動作は双子と言われても仕方がないだろう。 「それにしても、お前らを見てるとなんかが逆な気がしてならねぇなあ。」 「逆ぅ?何言ってんだ。服も荷物も性格も、ぜーんぶ合ってるだろうが。」 「ああそうさ。なんら正しいさ。一体どこが違うっつぅんだ。」  二人が言っていることは何も間違っちゃいない。フン、と不満げに鼻を鳴らすのも当然のことだ。
白椿
白椿
主に小説を書いてます。 気まぐれ投稿です。