灰に染まる

灰に染まる
全く気づけなかった。何かやっているなと、それだけは何処かで知っていて、だけど気づけばもう、こんなに進んでいる。 いつもの塾の帰り。塾は二階にあるから、上から景色が望めた。毎日ではないけれど、私はそこから景色を覗き込むのが癖だったりする。しかし、あくまでも“覗き込む”である。見えていないところだってあるのだ。 私の住む街は、所謂ベットタウンというやつで、程よく田舎だ。当然、住宅街のどちらかの方面には竹林があって、山の方の神社には歩いてすぐに着く。駅の方に行っても、都会に比べれば粗末だと言える。しかし、道もちゃんと整っているし、それなりに不便なく過ごせる。それが、私の住む街だ。 塾の向かいには、線路があって、田んぼもある。私が覗き込んでいるのは、決まってその手前の道か、線路を通る電車。そうする事で、梅雨気味の湿気に惑わされずに降水を確認できるし、電車を見ると仕事で中々帰って来れない父に思いを馳せることができる。あの電車にお父さんが乗っていたりしないだろうか、と。 そうやっていつもの通り、ふと外を見た。そうして、やっと気づいた。 「田んぼが減っている。あそこにあった田んぼが少し削れて、灰色になってる。」
あいびぃ
あいびぃ
初めまして、あいびぃです! 見つけてくれてありがとう♪ 私自身、生粋のアニオタ・漫画オタなのでファンタジーが多めになってます…多分。 詳しいことは「自己紹介」にて! まだまだ若輩者なので、応援よろしくお願いします! ※❤︎&コメはめちゃくちゃ喜びますので、私を喜ばせたい方は是非! 私の事が嫌いな方はオススメしません。