夏
アスファルトが奏でる陽炎。日光を溢れるほど浴びた、向日葵の群れ。果てしなく続く青を、入道雲が隠していた。
「もう帰ろうよ、茹で人間になっちゃう。」
「もうちょっと!」
彼女はシフォンのマキシワンピースに身を包み、麦わら帽子のつばを抑えた。風に揺れる黒髪がよく映える。『夏』を擬人化したかのような少女。……本当にこいつは、季節というものを最大限に楽しむよなあ。嫌いじゃないし、良いとさえ思う。だけど……
「私を巻き込むのだけはやめてくれない?」
額から絶え間なく汗が流れる。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/8/29 22:06
卯月