よだかの桃源郷

硝子色のむしを捕まえた。虹のような弧を描いて飛ぶそれを捕まえたいと思ったのは、僕という性の人間が、幻想的なものに掬われてしまうような好奇心を持っていたからだ。 硝子色のむしは、僕の手中でのたうち回って、やがて諦めたようにこっちを見た。同情は買われないというのに。 瞳が動いた。 むしは言った。 この世界は鏡像だ。その証拠に、鏡の向こうに見える景色を逆に感じるのだ。自分たちは間違っていないと、これでもかと自己暗示をかけて、いつの間にか、悪を外に疑っている。 むしは言った。あの無色透明の直方体の向こうにこそ、本当の世界があると。 きみが疑っていたもの、それこそが本物だと言い放たれて、気分はどうだ。悪いか。硝子色のむしは冷たく言った。 君はどこから来たの。 硝子色のむしは、僕を見つめる。 それなら、なぜ僕は本当の世界に行けないの。
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Je dois m'ennuyer 11.4 ~