アイス

「やったー。ありがとねーん」  軽くスキップしながらコンビニの自動ドアをくぐると、さっきまでの冷気はどこへやら、外の熱気が全身をつつむ。すると、後ろからぶっきらぼうな声が飛んできた。 「今日だけだからな」  へいへーい、と返事をしながらさっき手渡されたばかりの棒アイスの袋を開ける。定番のソーダ味だ。  一口かじるとキンキンに冷えたソーダの味が、夏の暑さにやられそうになっていた私の脳を生き返らせる。 「んー、んま!」  私の横で歩幅を合わせて歩く彼も同じアイスを手にしている。  生ぬるい風がスカートを揺らし、カバンを握る手が汗ばむ。 「それにしても、奢ってくれるなんて太っ腹だねぇ」 「そっちが脅してきたくせに」
葉月
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