メモリ

メモリ
彼との思い出を聞かれると、何を話せばいいのかよく分からない。案外、彼は幼い頃から私のそばにいた。それに気付かずに、彼と野原を駆け回って遊んでいたこと。その時に私が盛大に転けてしまった時、彼はすぐに駆け寄るなり少し苦笑いをした。 「何やってんだよ。ほら、乗れよ」 しかし、彼は私をおんぶして手当をしてくれた。でも、これが恋に繋がったかは分からない。この時はまだ、近くに住んでいた歳が近い男の子という情報だけだったのだから。 月日が流れるにつれて、私も彼も大人びていった。私は、小学生でこの街を離れた。あの時はまだ年長だった。 「元気にしてるのかな」 何故か私は、あの時の少年に思いを馳せていた。車に揺られ、車窓から見える景色が変わって行く間も。懐かしい街並みが見えてくる。また私はあの街へと帰ってきたのだ。と、実感した。 「長旅で疲れたでしょ。自分の荷物持って上がって、ゆっくりしてなさい」 母の言葉に甘え、自分の荷物を部屋に持って行った後、どうしようか悩んでいた。 ──あの野原に行けば、会えるかもしれない。
山芋とろろ
山芋とろろ
短編作者。恋愛物を書きます。 私の作品が皆様の癒しになりますように。 投稿頻度少なめ