第九話 怪我

もう少しでホイッスルという所で、ここぞと言うタイミングで、一点ビハインドで残り一二秒と言うところで、俺にボールが回ってきた。こちら側から見ると決めれば勝ちだが、相手目線で見た場合、まぁ止めれば勝ちということになる。 「走れ!大輝!いっちまえ!」 声を出しているのは誰かとコンマ一秒考えて、大野先輩だと分かった。 (そうだ、監督も俺を出したんだから…) 心の中でうんと頷き、あのゴールに手をかけるため、走り出した。股にボールを通し、後ろからもってくる。相手もやはり必死なようで、その基礎的なこともまともにブロックできていなかった。俺は、それらを躱しながらゴールの真下付近へたどり着いた。そのまま勢いに乗ってジャンプしようかと思ったその時だった。 抜かれたひとりの選手が俺に突っ込んできていた。 「俺らも、負ける訳には、いかねぇんだよぉ!」 「ゔっ…」 つい声が出てしまった。ジャンプ中である俺の背中目掛けて拳を飛ばしてきやがった。幸い腹は逃れたが、俺のふくらはぎに直撃したのだ。そのまま俺は“頭から”倒れて、ちょっと痛いとだけ感じた後の記憶はさっぱりない。
真夜中毒
真夜中毒
貴方は夜が好き? 私は好き。 でも人間は夜行性じゃないから、必ず母さんに叱られなきゃいけない。 こう見えて中受をする6年生で、まだまだ色々な意味で未熟。 私が未熟だろうと、そうではなかろうと、 どちらにせよ、結末的には夜を好きにならなければいけない道を歩むんだろう。