眠りたい

眠りたい
なにか大きな出来事があった訳じゃないんだけれど、例えばクローゼットの角のささくれで指を切ったりとか、不注意でコップの水を床にこぼしてしまったりだとか、暗い部屋で目が覚めたりとか、前に行った美術館のチケットの半券を無くしてしまったりだとか、ひとつを取ればさして大したことでもないような出来事の積み重ねで心がいっぱいいっぱいになってしまったりする。 不安定な心で何も出来なくなってただひたすら眠りこけたりして、ふと目が覚め 隣で眠る人に縋るみたいに伸ばした手をほんの少し拒まれたような気がして、それもただの思いすごしだというのに ボロボロと涙が溢れて止まらなくなってしまったりする。どうしたのと眉を下げて聞かれても喋り出せば嗚咽が漏れてしまいそうな気がして出来ないのだ。こんなことで人の手を煩わせている状況が不甲斐なくてまた鬱々と沈んでいく。 柔らかい肩口に顔を埋めてじわじわと自分が作る染みを見て嫌気がさした。少し前までカーテンの外の日差しが眩しいと感じていたはずなのに気が付けば薄暗く肌寒くなっていて、心配の色が滲んだ優しい声に頭を抱える。悪夢みたいな春の夜の浮遊感にあてられて意識がぐるぐるとベットの上を回って、ああもう嫌だとうずくまるしか成す術がない。 救ってくれ なにもかも終わりにして
夜
メモです