黄昏よりの使者

黄昏よりの使者
「やつが戻ってくるまでに完成させるぞ。いいな」自分以外にも奴らに怯えている人もいるのだと思って勢いよく扉を開けた。部屋の中には男と女が二人ずつ居るのが見えた。「帰る場所がわからなくなったので助けてほしいのだが…」言いながら彼らを見ると、息を殺しているからなのか、どんどん青ざめていくのが見てとれた。「気分でも悪いのか」そう聞くが、返答などは静寂が教えてくれた。「邪魔して悪かった」そう言い残し、そこを立ち去った。自分は唯一かもしれない頼みの綱を自力で引き千切ってしまった。
大海の柴犬
大海の柴犬