『線香花火の記憶』

『線香花火の記憶』
夏の夜、ミツキは静かな田舎道でひとり、線香花火を手にしていた。 この小さな火花は、彼女にとって特別だった。なぜなら、火が揺れるたびに、忘れたはずの記憶がふっと蘇るからだ。 花火の火花が弾けると、幼い頃の笑い声、雨に濡れた校庭の匂い、そして夜の孤独が鮮やかに浮かび上がる。 けれど、それらはまるで砂の城のように、火と共にすぐに消えてしまう儚いものだった。 ある夜、いつもとは違う青い火花が空に舞い、その後ミツキの手元に見知らぬ紙切れが残った。 そこにはこう書かれていた。 「忘れられた夏の約束を、取り戻せ。」
エデン。
エデン。
小さい頃からお話と詞を書くのが好きでした。 過去に書き溜めた物語や、最近書いた物語を載せていきたいと思います。 イラスト/ノーコピーライトガール様