『線香花火の記憶』
夏の夜、ミツキは静かな田舎道でひとり、線香花火を手にしていた。
この小さな火花は、彼女にとって特別だった。なぜなら、火が揺れるたびに、忘れたはずの記憶がふっと蘇るからだ。
花火の火花が弾けると、幼い頃の笑い声、雨に濡れた校庭の匂い、そして夜の孤独が鮮やかに浮かび上がる。
けれど、それらはまるで砂の城のように、火と共にすぐに消えてしまう儚いものだった。
ある夜、いつもとは違う青い火花が空に舞い、その後ミツキの手元に見知らぬ紙切れが残った。
そこにはこう書かれていた。
「忘れられた夏の約束を、取り戻せ。」
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文字数: 348
カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/8/23 13:08
最終編集日時: 2025/8/24 11:58
エデン。
小さい頃からお話と詞を書くのが好きでした。
過去に書き溜めた物語や、最近書いた物語を載せていきたいと思います。
イラスト/ノーコピーライトガール様