プロローグ

「・・・」 荒れ果てた大地を、小高い丘から眺める男がいた。 「酷い有様だ」 男はぽつりと独り言を言う。その声は悲み、悔しさが滲み出ていた。 どれくらいの時間が経っただろう?その男の後ろに、音もなく、銀色の長い髪の男が現れた。 「懐かしい気配だな…エナンか?」 後ろの男に、前に立つ男が言う。 「あぁ・・・久しいな」 「最後に一緒に戦って以来か?」 エナンと呼ばれた青黒い肌の男は、ゆっくりとした足取りで歩き、彼の横に並んで立つ。
古崎夢叶
古崎夢叶