タイトルと書き出しだけの小説:第33回「ウタうカレはウタカタに消えた」

タイトルと書き出しだけの小説:第33回「ウタうカレはウタカタに消えた」
私の彼氏、バンドウヤマトはバンドでボーカルをやっていて、どこか不思議な人だった。 どれぐらい不思議かというと、唐突に 「カナエは今度から俺の前で二度とひとりごとを言わない。なぜなら、カナエのひとりごとに俺は必ず相槌を打ってひとりごとを全て『会話』にするから」と言ってきたりするぐらいだ。 1ヶ月ぐらい連絡が取れなくなることはざらで その度に「私とバンドどっちが大事なの?」というありきたりな言葉を飲み込んだものだった。 一度だけ「何がそんなに忙しいの?」という、私なりの婉曲的表現で聞いたことがある。
マーティ・マクフライ
マーティ・マクフライ
僕は、小説のタイトルと書き出ししか書けない