試験

 これって何の試験なんだっけ、と夢の中の自分が考える。  夢だって気付いても、焦燥感だけは本物で、気持ちは少しも楽にならない。湿った手のひらの感触も、口の中の渇きも、鮮明に思い出せる。  失敗したくないと強く思う。  結果はどうなったんだっけ。  独りの部屋で目が覚めた。望んでなかった未来の先にも世界は続いていて、何も終わってはくれない。そんな当たり前をいつか受け入れられたら、もう昔の夢を見なくなるだろうか。
いずさや
いずさや
Twitterで140字小説を毎日更新しています。 こんな話が読みたい!というリクエストがあれば出来るだけお応えしてみたいので、コメント等に書いて頂けると嬉しいです。 好きな作家:桜庭一樹、星新一、伊坂幸太郎、滝本竜彦 Twitter: https://mobile.twitter.com/saya_works