ハンディファン
夏になると、彼は毎日忙しそうにしている。
すれ違うたび、白いシャツの袖口から覗く涼やかな風が、私の頬をくすぐる。
私の視線に気づくと、彼は少し笑って見せるけれど、その笑みの奥は誰のものでもない。
そう、彼はみんなの“涼”を与える存在だから。
私は彼に触れたい。
その指先から溢れる爽やかな風を、独り占めしたい。
けれど、そんなことをしていいのだろうか。
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カテゴリー: お題
投稿日時: 2025/8/14 6:36
ruki
言葉の欠片集めてます。
上手く言葉にできるように。
感情が溢れ出ないように。