君の薬指が輝いた日(三)

君の薬指が輝いた日(三)
「お久しぶりです。」 喪服でも手足が長いだけでこんなにも映えるのか、と久々に会った彼の弟を見て密かに驚いた。数秒反応が遅れて久しく呼んでいなかった弟くんの名前を言うと、覚えていてくれたんですねと白い歯を見せて笑顔を浮かべる。どうしても彼の笑顔と重なって気持ちが重い。 今日は彼の葬式に来ていた。 表向きは彼の古くからの友人として。 彼と一回り以上離れていて溺愛されていた弟くんだけが俺達の関係にきずいている、と思う。知らされた時刻より早い時刻に来て良かった。まだ人は自分以外には来ていないようだ。 『久しぶり、なかなか顔を合わせる  機会がなかったね』
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多分生きづらい人