#23 隔たり

#23 隔たり
瞬間、時が止まった。 川のせせらぎの音も、蝉の鳴き声も、そして荒ぶっていた俺の鼓動も。 将来について真剣に考え、そしてそのための努力を重ねていたはずの幸せな日々は、この瞬間に全て奪い去られた。 宏人 「………アルツ………ハイマー…?」 先生 「……はい。先ほど草野さんの脳のレントゲンを撮らせていただきましたが、一般的な方のものと比較すると明らかな萎縮が見られます。加えて────」 宏人 「ちょっと!!…………ちょっと待って下さいよ……!」 当然、俺はそんな現実を突きつけられて受け入れられるはずがない。 だって……だって俺の知る若葉は、しっかり者で決断が早くて……そして、俺の事を誰よりも覚えてくれているやつだったから。
Qoo
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素人ですが不定期で投稿します。 よかったらご覧下さい! 完結作→"Caminando"    →"まちのあじ"