良い子

良い子
 それでも、世の中には不思議な人がいるものです。 私がどれほど人間を斜めに見て、 「もう関わらないでください」 と冷たく突き放しても、変わらぬ調子で話しかけてくる女性の先輩がいました。 あの人は、なんというか、純粋という言葉すら曇らせてしまうほどまっすぐで、 元気で、素直で、 こちらが恥ずかしくなるくらい、曇りのない人でした。 私は、その方のおかげで「女」という大雑把な括りで世界を憎むような、 そんな浅ましい生き物にならずにすんだのです。 世の中には、まだこんなにも人を信じられる子がいるのかと、
宮野浜
宮野浜